不動産

【宅建勉強】宅地建物取引業法のポイント〜宅地、建物、免許等〜

今回は宅建試験で必ず出題される、宅地建物取引業法におけるポイントをまとめました。

宅地の定義

宅地の定義に関しては、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 現在、建物が立っている土地
  2. 建物を建てる目的で取引する土地
    ※将来建物を建てる目的であれば、登記簿上の地目とは関係ない
  3. 法令上の制限に出てくる用途地域内の土地
    公園、広場、道路、水路、河川などは除く

■③の語呂合わせ■
コーヒーどうですか?

建物の定義

建物についての定義は業法では特にありません。アパートやマンションの1室も建物に該当します。また、居住用に限らず倉庫や工場等も建物と定義されます。

取引の定義

取引の定義については、下記の表を覚える必要があります。

取引について売買貸借
自ら
代理
媒介

自ら賃貸(大家さん)は宅地建物の取引に該当しません。
また、転貸借(又貸し)を行う場合も宅地建物の取引に該当しません。

※宅建業者が自ら賃貸をする場合は、宅建業法の制限を受けないので、35条書面・重要事項の説明・交付も、37条書面・賃貸借契約書の交付義務もありません。
※ソーラーパネルは建築物ではなく工作物なので、ソーラーパネルを設置するための土地は宅地に該当しません。

宅地建物取引「業」とは

ここでは、業とは何なのかを紹介します。

  1. 不特定かつ多数
  2. 繰り返し(反復して)
  3. 一定期間にわたり継続して

上記の3つを行うことが、宅地建物取引の「業」に該当します。

宅地建物取引業者の定義

免許を受けて、宅地建物取引業を事業として営む者を宅地建物取引業者といいます。

免許制度について

免許には大きく2つの区分があります。

都道府県知事免許

1つの都道府県内だけに事務所を設置する場合には、都道府県知事免許が必要となります。
主たる事務所を管轄する都道府県知事に対して免許申請を行います。

国土交通大臣免許

複数の都道府県内に事務所を設置する場合には、国土交通大臣免許が必要となります。
主たる事務所管轄する都道府県知事を経由して、国土交通大臣に免許申請を行います。

免許の有効期間は、知事免許も大臣免許も5年間で更新可能です。
※個人でも法人でも免許の取得は可能です。しかし、個人事業が法人成りをしても個人の免許を引き継ぐことはできない(法人が個人事業になった場合も同じ)。個人免許は相続されません。
※免許を与える知事や大臣のことを「免許権者」といいます。

免許の欠格要件について

ここでは、免許における欠格要件を紹介します。免許権者は、免許を拒否する際、その理由を付した書面をもって申請者に通知しなければなりません。
成年被後見人・被保佐人を一律に欠格とするのではなく、該当する人の状態を個別的・実質的に審査し、判断することとなりました

1破産者で復権を得ない者
2心身の故障がある一定の者
3一定の犯罪による罰金刑(刑の終了より5年は不可)
どんな犯罪でも禁固刑以上の刑(刑の終了より5年は不可)
4暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない
5免許申請前5年以内に、宅建業に関し不正または著しく不当な行為
6宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれ
7以下で、免許を取り消された者(取消日から5年は不可)
ア:不正の手段で免許を受けた、イ:業務停止で情状が特に重い、ウ:業務停止処分に違反
8⑦の聴聞の公示後、相当な理由なく廃業と届出をした者(届出日から5年は不可)
9⑦⑧の法人で、聴聞の公示日前60日以内に役員であった者
(取消日または届出日から5年は不可)
10営業に関し能力を有しない未成年で、法定代理人が①〜⑨
※未成年後見人が法人のときは役員
11役員(非常勤を含む)、政令で定める使用人(支店長)が①〜⑨
12支配する者が暴力団員
13重要事項に虚偽の記載や重要な事実の記載漏れ
14事務所ごとの専任の宅地建物取引士を欠く者

※控訴・上告中は免許は受けられます。
※執行猶予中は免許を受けられません。執行猶予期間が満了すると直ちに免許を受けることができます。
罰金でも背任、宅建業法違反、暴力系は欠格事由に該当します。
※罰金刑を受けたときに免許取消しとなる刑法の罪は次の6種類です。傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合及び結集罪、脅迫罪、背任罪。

免許の更新

免許の有効期限は5年間です。有効期限の満了後、引き続き宅建業を営もうとする者は、免許の更新を受けなければいけません。更新の手続きについては有効期限の満了の90日前から30日前までとなっています。

※新免許が交付されたら、その有効期限は、旧免許の有効期限の満了の日の翌日から起算されます。

免許換え

免許換えとは、宅建業者が事務所の新設や廃止などを行うことで、免許権者が変更する場合に、新たな免許権者の免許を受ける手続きのことを言います。

国土交通大臣免許へ変わる場合→主たる事務所の所在地の知事経由で国土交通大臣に申請
他の知事免許へ変わる場合→直接、新免許権者である知事へ申請

※免許換えの申請により新たに免許を取得した免許権者は、遅滞なく従前の免許権者に通知しなければならなりません。
※免許換えが必要なのにしていない場合は、免許取消になります。
※免許により受けた新たな免許の有効期限は、免許換えの時から5年間となります。

免許の例外

ここでは、免許を受けることなく宅地建物取引ができる者を紹介します。

  1. 地方公共団体
  2. 地方住宅供給公社、土地開発公社等
  3. 信託会社、信託銀行
    ※国土交通大臣への届け出が必要。この場合、原則としては宅建業法が適用で、免許の規定のみ業法の適用除外。
  4. 取引結了の範囲内
    ※個人業者の相続人などは取引を完結させるための行為については免許なしで可
  5. 破産管財人
    ※破産管財人から依頼され、売買の代理または媒介を行うことは宅建業にあたるので注意

宅地建物取引業者名簿と変更の届出

免許権者は「宅地建物取引業者名簿」を備え、免許を受けた業者の次の事項を記載しなければなりません。業者は、下記に◯がついている事項について変更が生じた際、免許権者に届出る必要があります。

変更届
1免許証番号及び免許の年月日
2商号または名称
3事務所の名称及び所在地
4法人にあっては役員等の氏名、個人にあってはその者の氏名並びに政令で定める使用人がある時はその氏名。役員には、監査役・監事・支店長・支配人等を含む
5事務所ごとに置かれている専任の宅地建物取引士の氏名(住所は不要)
6他に事業を行っている場合、その事業の種類
7指示または業務停止処分がある時はその年月日と内容

※変更届が必要なものについては、変更後30日以内に免許権者へ届出なければいけません。
※国土交通大臣免許の場合は、主たる事務所の所在地の知事を経由して届出を行う。

■変更届出の語呂合わせ■
薬物使用を証明、自宅で30グラム

廃業等の届出

ここでは廃業の届出などのルールを確認してます。

届出事項期限届出義務者失効時期
死亡30日以内
(知った日から)
相続人死亡の時
破産手続き開始30日以内
(その日から)
破産管財人届出の時
廃業30日以内
(その日から)
本人/代表届出の時
法人の解散30日以内
(その日から)
清算人届出の時
法人の合併30日以内
(その日から)
消滅会社の
代表役員
合併の時

※廃業届出は、宅建業免許証の返納義務がありますが、更新をしない場合は返納義務はありません。

宅地建物取引業者名簿と変更の届出

免許権者は「宅地建物取引業者名簿」を備え、免許を受けた業者の次の事項を記載しなければなりません。業者は下記の事項に変更があった場合には免許権者に届出をしなければなりません。

商号・名称
法人の場合、役員の氏名、政令で定める使用人の氏名
個人の場合、氏名、政令で定める使用人の名前
事務所の名称、所在地
事務所ごとに置かれる専任の宅建士の氏名
指示処分、業務停止処分の年月日・内容
兼業は事業の種類
取引一任代理の認可を受けている時は、その旨および認可の年月日
免許証番号・免許年月日

※役員には、監査役・監事・支店長・支配人等を含みます。
※①〜⑤は、変更後30日以内に免許権者に届出なければいけません。
※国土交通大臣免許の場合は、主たる事務所の所在地の知事を経由して届出ます。

事務所の定義

不動産屋の店舗のことを事務所と言います。

  1. 本店(主たる事務所)
    ※宅建業を営む支店があれば、本店は宅建業を行わずとも事務所扱い
  2. 支店
    ※宅建業を営む店に限る
  3. 本店、支店以外でも継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で、宅建業にかかる契約を締結する権限を有する使用人を置いているもの

→この法律に定める事務所に該当すると、宅建業に従事する者5名に1名以上の割合で専任の宅地建物取引士の設置義務及び、営業保証金の供託等の義務が発生します。

事務所や案内所の届出や義務

下記の表は、事務所や案内所における設置義務があるものや届出が必要なものの一覧です。

専任宅建士の設置義務報酬額表従業員名簿帳簿標識届出義務
①事務所
5人に1人
なし
②案内所等
(契約あり)

1人以上
③案内所等
(契約なし)
なし

※従業員名簿は最終の記載をした日から10年間保存が必要
※帳簿は各事業年度の末日をもって閉鎖し、閉鎖後5年間保存必要
※報酬額表は公衆の見やすい場所に掲示する
※案内所の設置は、免許権者とその案内所を管轄する知事に対し、業務開始10日前までに一定事項を届出する必要あり

標識を掲示すべき場所

標識を掲示すべき5つの場所は以下の通りです。

  1. 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外の場所
  2. 一団(10区画又は10戸以上)の分譲について、案内所を別に設けた場合のその案内所
    (案内所には案内所を設置した業者の標識を掲示します)
  3. 一団の分譲の代理又は媒介を案内所を設けて行う場合のその案内所
  4. 業務に関し、展示会等の催しをする場合、その実施場所
  5. 一団の宅地建物を分譲する場合の分譲現場(売主の標識を掲示)

まとめ

今回は、宅建試験で必ず出題される、宅地建物取引業法におけるポイントをまとめてみましたが、いかがでしたか?

この宅建メモが少しでも皆さんの役に立っていると幸いです。